痛みの改善・予防には「身体全体の動き」が重要

「肩が痛いから肩だけを治療する。」
「腰が痛いから腰だけをほぐす。」

このような考え方は決して間違いではありません。しかし近年の整形外科やスポーツ医学、リハビリテーション医学では、痛みを患部だけの問題として捉えるのではなく、身体全体の動きや負荷のかかり方を含めて評価することの重要性が広く認識されています。

実際に私たちの身体は、一つひとつの関節が独立して動いているわけではありません。

歩く、立ち上がる、しゃがむ、階段を上る、荷物を持ち上げるといった日常動作では、足部・足関節・膝・股関節・骨盤・体幹・胸郭・肩甲帯が互いに協調しながら働いています。

この協調が崩れると、一部の関節や筋肉に負担が集中し、痛みや障害につながる可能性があります。

 


「痛い場所」と「負担が生じる理由」は同じとは限りません

例えば膝が痛い場合でも、必ずしも膝だけに原因があるとは限りません。

足関節の動きが制限されていたり、股関節が十分に機能していなかったり、体幹の安定性が低下していたりすると、本来分散されるはずの負荷が膝へ集中することがあります。

肩の痛みでも同様です。

肩関節だけでなく、

  • 胸郭の可動性
  • 胸椎の回旋
  • 肩甲骨の動き
  • 体幹の安定性
  • 下肢から上肢への力の伝達

などが影響していることも少なくありません。

もちろん、骨折や腱板断裂、変形性関節症など、局所の組織損傷が主な原因となる疾患もあります。

しかし、慢性的な肩こりや腰痛、膝痛、スポーツ障害などでは、身体全体の動きや負荷の分散が症状の持続や再発に関与しているケースが多く報告されています。

 


「動きのコントロール」が身体を守る

近年、リハビリテーション分野では**Motor Control(運動制御)やMovement Control(動作制御)**という概念が重要視されています。

これは「筋力が強いこと」だけを意味するものではありません。

重要なのは、

  • 必要な関節が十分に動くこと
  • 必要な筋肉が適切なタイミングで働くこと
  • 身体全体で負荷を分散できること
  • 動作を繰り返しても過剰なストレスが一か所に集中しないこと

です。

例えばスクワットでは、深くしゃがめること自体が目的ではありません。

左右の荷重バランスが保たれ、股関節や足関節、体幹が協調して働くことで、膝への負担を軽減しながら効率よく身体を動かすことができます。

このような動作を獲得することは、日常生活だけでなくスポーツにおいても重要です。

 


筋力だけでは十分ではありません

「筋肉を鍛えれば痛みは改善する」と考えられがちですが、それだけでは十分とは言えません。

筋力は身体機能の重要な要素ですが、筋力・可動性・バランス・協調性が組み合わなければ、本来のパフォーマンスを発揮することは難しくなります。

そのため現在の運動療法では、

  • 関節の可動性を改善する
  • 身体のバランスを整える
  • 正しい動作を学習する
  • 必要な筋力を向上させる

という流れで介入することが推奨されています。

運動の「量」だけではなく、「質」を高めることが痛みの改善や再発予防につながると考えられています。

 


手技療法と運動療法、それぞれに役割があります

マッサージや鍼灸、関節モビライゼーションなどは、痛みの軽減や関節の動きを改善するうえで有効な手段です。

一方で、痛みが軽減した後も同じ身体の使い方を続ければ、再び同じ部位へ負担が集中する可能性があります。

そのため、多くの国際的な診療ガイドラインでは、患者さんの状態に応じて運動療法を組み合わせることが推奨されています。

手技療法によって動きやすい状態を作り、その後に適切な運動を行うことで、改善した機能を日常生活へ定着させやすくなります。

 


身体は「運動連鎖(キネティックチェーン)」として機能する

スポーツ医学では、「キネティックチェーン(Kinetic Chain:運動連鎖)」という考え方が広く用いられています。

これは、一つの関節だけではなく、身体全体が連続した運動システムとして働くという概念です。

例えば歩行では、足部で受けた力は足関節、膝、股関節、骨盤、体幹へと伝わります。

反対に、体幹の安定性が低下すると、その影響が下肢へ及び、膝や足部への負担が増加することもあります。

このように身体全体を一つのシステムとして評価することが、痛みの原因や再発リスクを理解するためには重要です。

 


アジャスト上野のアプローチ

アジャスト上野では、痛みのある部位だけではなく、姿勢や歩行、荷重バランス、関節の可動性、身体全体の動きを評価することを大切にしています。

そのうえで、必要に応じて鍼灸や徒手療法で痛みや可動域の改善を図り、さらにファンクショナルトレーニングを組み合わせることで、身体全体の協調性を高めていきます。

私たちが目指しているのは、「その場で楽になること」だけではありません。

日常生活や趣味、スポーツを安心して続けられるよう、痛みを繰り返しにくい身体づくりをサポートすることです。

 


まとめ

痛みは、局所の組織損傷だけでなく、身体全体の動きや負荷のかかり方が関与している場合があります。

そのため、患部だけではなく身体全体を評価し、適切な運動制御や負荷の分散を身につけることは、痛みの改善だけでなく再発予防にもつながると考えられています。

「治療を受けると楽になるけれど、また同じ場所が痛くなる。」
「長年、肩こりや腰痛を繰り返している。」

そのようなお悩みがある方は、一度ご自身の身体全体の動きを見直してみることをおすすめします。

アジャスト上野では、一人ひとりの身体機能を丁寧に評価し、医学的な知見に基づいた施術と運動療法を組み合わせながら、根本的な改善を目指しています。

 

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